鈴木茂の大麻所持による逮捕のニュースを見て、とても複雑な気持ちになった。
鈴木茂は、ご存知の通り
、はっぴいえんどのギタリストであり、その後もソロだったり、ティンパンアレーでも活躍していた名ミュージシャンなのだが…
と、言おうと思ったが、Yahoo!のコメントで、多数の「この人誰?」を見てしまって、まず
「そうか、鈴木茂どころか、普通ははっぴいえんど自体も知らない人も多いよな」
と、改めて認識させられた。
最近、そういうことが多くなってきて、
今度来日するエイモス・ギャレットも、
「超有名曲『真夜中のオアシス』の名ギタリスト」で話は済むはずなのに、
実は、普通に暮らしていれば、この「超有名」にたどり着くさえ、とても困難だ、という嫌な事実に気付いた。
(この「真夜中のオアシス」話は、僕が自分で気付いた例えではなく、
ピーター・バラカンさんが、体験談をラジオ番組で愚痴っていたのだ)
そんなことは良い。
個人的には、まず鈴木茂の曲が廃除されることだけは避けてほしいのだ。
はっぴいえんどを抜きに、日本のロックを語ることは、極めて困難だ。
そして、作品の形成過程においては、作者・演者の関わり方は重要だが、
作品が残る時には、作者による作品の形成過程なんて歴史的事実は捨象される。
それに、そのような基準でCDの販売をやめるのだったら、ビートルズ、グレイトフル・デッドなんて絶対に売れないし、リアルタイムなら、エイミー・ワインハウスなんてのは、もはやタブーじゃないか。
ドラマーのジム・ゴードンに至っては、人を殺しているのだから、
彼が叩いたデレク&ザ・ドミノスや、カーペンターズのCDなんかは世に出回っている方がおかしい。
そもそも、現在の犯罪で、40年も過去の作品までに遡及してまで流通をストップすること自体おかしい。
人殺しや、覚醒剤じゃないんだから…
…と書いて、何となく悲しい気持ちになったのは、
やはり鈴木茂さんに対し、裏切られた気持ちになったのと、
「大麻だから、そんな自粛するほどじゃないじゃん」
と思ってしまうほど、大麻が「身近な存在」になってしまったという嫌な事実である。
(追記:やはり、はっぴいえんど、「バンドワゴン」等は流通停止するようだ。
ティンパンアレーはどうなるのだろう。
「じゃあ岡林信康とか、高田渡の『ごあいさつ』、吉田美奈子の『扉の冬』とかも止めればいいじゃん」と思うのだが、多分そこまで徹底はしないんだろう。
目立つところだけ止めて「ちゃんと世間様に対して責任とります」なんてポーズだけ見せるよ、りやるならそこまでやってみろっていうんだ。
はっぴいえんどの『風待ろまん』の一曲目「抱きしめたい」のイントロなどは、この世に存在するレコードの中でも最もクールな出だしだと思うのだが…)